「空/ソラ・カラ・クウの器 Ultra Light Orchestra」
2022年の株式会社ゴールドウイン主催のイベント「PLAY EARTH PARK」。そのうちの出展遊具の一つが「Ultra Light Orchestra」です。「空」のエレメントをテーマに、Domino Architectsの 大野友資氏 が設計されました。「空」というテーマを“ソラ”だけでなく“カラ”でもあるし“クウ”でもあると考え、空虚で何もないことをテーマにあそび場を計画。あそび場には透明なビニール素材を用いて作られた、形もサイズも異なった37個のエアバックが転がり、飛んだり、抱いたり、持ち上げたり、通常どっしりと置かれた遊具とは異なったあそびができます。適度に空気の抜かれたエアバックは、まるでふわふわした雲の上であそんでいるような感覚を味合わせ、空気というものが、人の存在やエネルギーを伝える媒介にもなることを、体全体で感じてもらえる空間となっています。
Images
Production story
BACKGROUND
テーマである「空」を考えていくと、日本では“ソラ”だけではなく、“カラ”や“クウ”と表現するように“何もないこと”という概念があることに気づきます。大野氏の考えるいい遊具とは「できるだけ遊び方を限定せず、どう遊ぶかを遊ぶ人自身で考える余地があるもの」。それも踏まえ、器のようなものやクウやカラという空虚で何もないことをデザインのテーマにしました。
INSIGHT
“何もないこと”をテーマにした遊具。形はないけど空に触れられるものはないかと考えた時、空気を包んだいろいろな形のエアバッグを転がしたら楽しそうというアイデアに行き着きます。通常遊具といえば倒れないようしっかりした造りの物が多いですが、今回の遊具は自分で持ち上げたり、抱いたり、もたれかかったり、「空」を体感できる遊具となっています。
SOLUTION
フランスの哲学者、ガストン・バシュラールの本〈空と夢〉に書かれた、「空にとって最も重要なイメージはカーブだ」という言葉をヒントに、様々な曲線を用いたデザインで考えられていました。しかしどれも似た形になってしまうことに納得がいきません。そこで以前ゴールドウインの方から「ゴールドウインの服で一番大事なのはパターンの曲線だ」と伺ったこと思い出し、遊具のデザインには、ゴールドウインのこれまでのパターンデータの中から、必要な線や形を抜き出し、リデザインして組み合わせたものが反映されています。
HOW IT WORKS
エアバックは空気をパンパンに入れていないので、人が寝転がったときに形が決まります。跳ねたり、飛んだり、投げたり、端に誰かが寝転ぶと、反動で反対側の子が弾み、シーソーみたいに遊ぶこともできます。直接触れ合っていなくても、空気のオブジェを介してお互いの存在を感じられる。空気というものが、人の存在やエネルギーを伝える媒介にもなることを、体全体で感じてもらえる遊具になっています。
DATA
「Ultra Light Orchestra」
設置場所 :
東京ミッドタウン 2022年4月23日~5月29日
富岩運河環水公園 2022年7月24日~8月14日
(「PLAY EARTH PARK」開催期間中)
主催: 株式会社ゴールドウイン
遊具デザイン :大野友資(Domino Architects)
遊具製作 : ジャクエツ