木登り好きが創った 未来型ジャングルジム

March 15th, 2019
赤木 あずさ
PLAY DESIGN LAB / Researcher & Designer
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 PLAYDESIGN LABには、木登り好きの研究員がいる。
遊具デザイナーの赤木あずさ氏だ。彼女はこれまでにもいくつもの遊具を生み出して来た。
その中でもひときわ特徴的なのが「SANGO」と「KUMO」という2つの遊具。「SANGO」は2016年グッドデザイン賞・キッズデザイン賞にも選ばれていて、写真にもあるようにカクカクとした枝が特徴的。そして、姉妹作として2018年に発表し、同じくグッドデザイン賞とキッズデザイン賞を受賞したのが「KUMO」。こちらはカーブしたパイプとネットが特徴的だ。規則性の無い不可思議な遊具は、初めて見た人の視線を惹き付ける。
今回はこの遊具がどのような想いでできたのか、彼女に聞いてみた。

 

 

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SANGO


 

 

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KUMO

 

 

木登りから生まれたSANGO



− 赤木さんは木登り好きだと聞きましたが。


 そうです。小さい頃、木登りが好きだったんです。
当時は、一番高い場所に登れる子は凄いっていう雰囲気があったんです。周りに怒られながらも、姉につられて近所にある雑木林に忍び込んでは登っていました。今でも、公園や学校にある木を見ては「私ならこう登るな」というように木登りシュミレーションをしてしまいます。

 

 

− 確かに、SANGOは森の木立のようにも見えますね。


  木登りの体験は、どのようにSANGOのデザインに繋がったのでしょうか?


 もともと、これまでにないジャングルジムを作ろうという企画でSANGOはスタートしたのですが、アイデア出しの中で「握らない!“抱く”ジャングルジム!」っていうワードが出てきたんです。
どの程度の抱き心地がいいかを考えた時に、どうせなら大きな幹にしがみつくような体験をして欲しいと思ったんです。そこから、昔大好きだった木登りにヒントがあるのではと思いつきました。
木登りは、どのように身体を動かせば上手に登れるのか、考えながら動く必要があります。手だけ、足だけ、ではなく全身をバランス良く使わなければ、思うようには登れません。SANGOにはそんな木登りの要素をたくさん詰めているんです。
カクカクした枝はバランスが必要だったり、太さの違う枝は握る手の力加減も変わってきます。
一番上の眺めが良い場所に行くにはどのルートが良いのか、子どもたちは考えながら手足を上手に使って遊んでくれます。

 

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SANGOで遊ぶ子どもたち。抱きついたり、ぶら下がったり。


 

足をしっかり使うKUMO



 

− KUMOという遊具では、どんなことを考えたのですか?


 KUMOはSANGOの続編として考えました。SANGOは腕や手をしっかり使う遊具だから、じゃあ足をメインにしたらどうか。という感じで考えていきました。バランスを取りながら立って歩くような。
私は木登りも好きなのですが、とにかく何でも上に登りたい子どもだったので、雲悌にも登ったりしていたんです。落ちたら危ないとか、運動のできる子でないと登れないというのなら、ぐんと低く設定して乗ることがメインの遊具にしたらどうだろうか。と考えました。後は素材の違いや、歩く時の不安定さを生かしてKUMOが出来ました。

 

 高いところに登るとか不安定な場所に立つという行為は、遊具をより面白くする要素になりますが、その分危険性も上がります。SANGOは枝を広く開けて大人が遊具の中に入り、補助しながら遊べるように。KUMOは手すりを設けて顔を上げさせる事で衝突の危険性を減らし、互いにコミュニケーションを取りながら遊べるように。それぞれギリギリの面白さを追求しながら、安全性を第一に設計しています。そこはグッドデザイン賞やキッズデザイン賞でも評価していただいた点だと思います。

 

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KUMOで遊ぶ子どもたち。SANGOと違い足を使ってパイプを渡っていく動きが見られる。


 

− 遊具の名前はどのようにして決めたのですか?


 SANGOは見た目がサンゴ礁っぽいというのが一番の理由ですが、サンゴ礁が稚魚の巣であるように、子どもたちが自然と集って、ここで成長していくような遊具になるといいなと思って決めました。

 KUMOも色んな意味があるのですが、空にある雲の上を歩くようなイメージで不安定な場所を歩く感じだったり、ネットの上に寝そべって雲の上のふわふわゆらゆら感を感じて欲しいなと思って名付けました。

 

− 今後もまだまだ楽しい遊具ができそうですね。最後に、遊具づくりの面白さとは?


 嬉しいことに、SANGOもKUMOも、子どもたちは夢中になって遊んでくれるんです。
自分のお気に入りのスポットを見つけて、そこに向かって一目散に登っていく。
それで、今日はここまで登れるようになったよ!と言って報告してくれるんです。

 
夢中になって遊んだ経験の蓄積は、子供たちの成長に繋がると私は考えています。
そのためには安全で、安心して遊べることも不可欠なので、
魅力も安全性もどちらも詰まった遊具をこれからも作っていきたいです。

 

 

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