前回のレポートにて取り上げた『CLIMBING WALL GAMBA』が第14回キッズデザイン賞を受賞した。そこで今回は、プレイデザインラボが注目するキッズデザイン賞受賞作品をご紹介したい。
キッズデザイン賞とは、子供や子どもの産み育てに配慮したすべての製品・サービス・空間・活動・研究を対象とする顕彰制度である。
これまでプレイデザインラボからも、書籍「あそぶだけ!公園で子どもの体力がグングンのびる!」や、FRP遊具「OMOCHI」、鉄製遊具「SANGO」、総合アルミ製遊具「PLAY COMMUNICATION」など、多様な製品が数多く受賞している。
「CLIMBING WALL GAMBA」
GAMBAは〈子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門〉でキッズデザイン賞を受賞している。
「次にどこをつかもう。どこに足をかけよう。」
クライミングは全身をバランス良く使うことで養われる運動能力だけでなく、自分で考えて工夫する思考力や、目標に向かって繰り返しチャレンジする心を育むスポーツである。子どもたちの力を最大限に引き出すための工夫がGAMBAには数多くある。
GAMBAは小さな子どもたちが遊ぶ遊具でありながら、本格的なクライミングウォールでもある。10°のオーバーハングがあることで難易度が上がり、幅広い年齢の子どもたちの挑戦する心をくすぐる。また、下方にはステップが設けられているので、2歳児から遊ぶこともできる。
大小様々なホールドは全部でなんと28種類。専門家監修により、初級・中級・上級の3つのルートセットができることも魅力である。
幼保施設への設置を想定し、未就学児を対象としたGAMBAは、その安全性と、施工性に優れた独自開発のホールド、そして年齢と習熟度に合わせて難易度が変えられ長く遊べる点などが評価された。
プティ トワレ
以前のレポート
「子どもたちに心地よい、エモーショナルデザインのアプローチ」で紹介した子ども用トイレ「プティトワレ」もキッズデザイン賞〈子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門〉にて奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)を受賞している。
感染症の流行により乳幼児施設のトイレには、清掃性・流しやすさ・飛沫防止などより高い衛生レベルが求められるようになってきた。また、現代の子どもたちは食生活や生活リズムの変化から、便秘の低年齢化が起こってきているのだという。
プティトワレは衛生・排泄といった時代のニーズに応えつつ、シンプルかつ優しい造形で、年々インテリア性が高まり多様化するトイレ空間に合う意匠性も備えている。子どもも大人も使いやすく心地よいデザインを実現したトイレである。
プティトワレはこのほか、第8回かわいい感性デザイン賞 最優秀賞、2020年度グッドデザイン賞も受賞している。
Ronde
最後に紹介するのは〈子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門〉にてキッズデザイン賞を受賞したちょっとユニークなスケーター「Ronde」である。
全体の丸みと柔らかなカラーリングがとても可愛らしい印象を与えるRondeには2輪と3輪の2種類がある。そしてこの2種類は操作の方法が全く異なるのだという。
2輪のRondeはハンドルを進みたい方向へ向ける事で前輪が一緒に動き、方向を変える事ができる。これは通常のスケーターと同じ操作方法のため、子どもたちは自分の思い通りに進むことで乗りこなす楽しさを覚える。
そして3輪のRonde。こちらはハンドルを左右に倒すことで、前輪の向きが変わり動くことができる。進みながらハンドルを倒すという操作にはバランス感覚や体幹が必要となってくる。すぐには乗りこなせず、何度も練習することで乗りこなすことができるよう、チャレンジ精神と好奇心を持ってもらうことを狙いとして開発したそうだ。
筆者自身も試乗体験をしたが、思うように進むことがなかなかできず苦労した。しかしそれと同時に、乗りこなしたい!もっとやりたい!と強く感じたのを覚えている。
3輪を乗りこなせるようになり、ステップアップとして2輪へ。
どうすれば上手に乗れるかの試行錯誤、お友達同士で教え合うコミュニケーション、そして上手く乗れるようになった時の達成感。Rondeをきっかけにして子どもたちは心も身体も成長していくのだろう。
最後に
子どもの健やかな成長ために、そして子どもたちを育てるのによりよい環境を作るために、
たくさんの魅力的な製品やサービスが日々生まれている。
今後もプレイデザインラボでは、子どもたちの「あそび」について、さらに研究を深めていき、「安心・安全」とあわせて「好奇心」を育むことができる「あそびの環境づくり」に注目していきたい。