動く遊具への挑戦 / 回転遊具


DONUTではPLAY DESIGN LABで初めて、動く遊具に挑戦しました。お菓子のドーナツのようなリング形の座面が特徴の幼児向けFRP製回転遊具です。子どもたちは中心のハンドルだけでなく、全身を使ってDONUTを回し、またその動きを体全体で楽しみます。子どもたちの行為を促すような形態に、実際に動きが加わることで、より体験的な遊具となりました。

高いデザイン性と、従来から蓄積されてきた安全性のノウハウとの共存を図りながら、遊具に内在する固定概念を問い直し、子どもたちから自由なあそびの概念を引き出すことを目的に開発しました。


デザイン性と安全性の共存


DONUTの開発において、一番の課題となったのはデザイン性と安全性の共存でした。まず、PLAY DESIGN LABには、長年の遊具開発のノウハウやモデル園での検証、また全国の幼稚園・保育園から寄せられた、ヒヤリハット報告を基に独自に確立された安全規準があります。一方で、DONUTは今までに無い、新しい価値観を引き出すことを目的として開発をしており、そこに発生するであろうギャップを埋める必要がありました。我々は、そのギャップを埋めるために、デザイナーと製作サイドで、コンセプトを共有しながら、考え方についての摺り合わせを何度も繰り返し行いました。その結果、安全性の面からは弊社独自の安全規準を満たしながらも、デザインでは全く新しい価値観を追求した製品を作り上げることができました。


本能的な楽しさを持つ回転遊具


回転遊具は、その動きの特性から、子どもたちから根源的な楽しさを引き出すことに長けているあそび道具です。DONUTは、時には遊具の持つ楽しさを損なわせてしまう安全性を尊重し、大切にしながらも、回転遊具の持つ独特の面白さを残し、子どもたちが元気いっぱいに気持ちよく遊べるように設計されています。


Naoto Fukasawa
Product Designer

2003年NAOTO FUKASAWA DESIGN 設立。 卓越した造形美とシンプルに徹したデザインで、イタリア、フランス、ドイツ、スイス、北欧、アジアなど世界を代表するブランドのデザインや、国内の大手メーカーのデザインとコンサルティングを多数手がける。デザインの領域は、腕時計や携帯電話などの小型情報機器からコンピューターとその関連機器、家電、生活雑貨用品、家具、インテリアなど多岐にわたる。2010〜2014年グッドデザイン賞審査委員長。多摩美術大学教授。日本民藝館館長。

Images

Production story

DONUT

サイズ:1800×1800×H637mm
材質:FRP

2014 GOOD DESIGN AWARD